Lunae die 20 mensis Maii 2024

ACROAMATA LATINA

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t. miura

Recitationes latinae



Recitation (Aenēis 2.313-327) and Slides_ アエネーアースのピエタ―スは神命に反して祖国滅亡への殉死に向かうのか

《和訳》 【2.313 (そのとき)ラッパが響き敵兵らのときの声が湧きおこる。】 (※これは、脱出し守護神を祭る大都を創建せよとの神命と憎き敵への反撃の間で揺れるアエネーアースを、戦いに駆り出すとどめのようであった) (※トロイアとトロイア人必滅の定めを眼前にし、至高のpietāsを備えるべきアエネーアースは、ルクレーティウスの言う死の恐怖によるpietāsの至高の徳目の腐敗[Lucr. 3.83-86]にどのように対峙していくのか。ここに全編を通じて歩むその道が始まった) 【2.314 狂気に支配された私がつかむのは武器である。(我らの)兵力について丁寧な計算はしない。】 (※決意を固め静かに、アエネーアースはそれに手を伸ばした、武器に。神命の脱出に連れ出すべきトロイアの守護神ではなかった) 【2.315 そうではなく、戦いのために手勢をまとめ、(本丸の)要衝に急いで集結しよう、】 【2.316 (いざ鎌倉と参集する他の)仲間たちとともにと、勇気が燃える。(信義を裏切ったギリシア人とそれを黙認した神々への)怒りと激情(に身を委ね、それ)が先に心を】 【2.317 捉える。そうして、(滅亡の祖国に殉じて)城を枕に討ち死にすることは美しい、(戦士として祖国への究極のpietāsだ)との思いが湧いてくる。】 (※アエネーアースの怒りと激情に乗じて、ユーノーはささやき、pietāsの名の下に、殉死を美化させた。アエネーアースはやがて覚めるべき第3の「夢物語」に入った) (※死を恐れず美化するその勇気は、至高の敬神徳目「祖国への忠と親への孝」に関わるルクレーティウスへの反論。しかし己の今の名誉しか考えない「死」は、守護神を奉じて未来を開けとの「神命」を放棄すること。また父・妻子をギリシア兵の殺戮に委ねることになる。それは最悪の不敬神ではないのか) (※一方、至高神ユッピテルの全てを包摂する神意の下、トロイアから「夜逃げ」し、漂着したアエネーアースは、今この話を語りかけ、ユーノーの神威で深い関係となるディードーから、後にユッピテルの関与で、またもや「夜逃げ」することになる。彼女は愛と信義を踏みにじる彼への怒りと激情に駆られ、テュルス人たる名誉と死による復讐のために、ユーノーさえ予期せぬ「自死」を決行する。人間集団の本質としてその再創造のために切り出されたpietāsを担うアエネーアース。その彼を引き止めようとするユーノーの邪悪な「結合」は、ユッピテルによっていずれも死滅的に崩壊するのであるが、ここにおいて、その崩壊での死を選択するアエネーアースも、ディードーもルクレーティウスのいうような[Lucr. 3.71-81]人生を暗黒にした死への恐怖ゆえにそうするのではない) 【2.318 ここにおいて、(本丸へと急ぐそのとき、神殿の奥から、)見よ、(彼の住居よりそこに来るまで)ギリシア勢の殺戮をくぐり抜けてきた、(あの)パントゥースが、】 【2.319 (ローマ人の心を不安にする響きの)「Othryadēs:オトリュスの子」たるパントゥースは、(本丸の)要衝にあるポエブス神殿の(「敬神」の象徴たるデルフォイから来た)神官であり、】 (※「Othryadēs」の響きは、後のローマ人に、アエネーアースを阻止すべく常に次の矢を用意するユーノーの不吉な影を感じさせたであろう。後の世のその者は、盟約による同数300人の決戦で、負傷しつつも戦場に残った最後の一人となったが、彼は、戦士たる名誉のために「自死」を選んだ) (※パントゥースはデルフォイの神託で、へルクレースによるトロイア最初の陥落後、場所と民族をそのままにする再建を是とした、いわば、第一次トロイア再建の神意の担い手であった。今ここに、トロイア再建の神意を担う任務が第一次再建のパントゥースから第二次再建のアエネーアースへ移される) 【2.320 (武器ならぬ)聖具と敗れた神々の像を手にし、また(残りの手で)幼い孫を】 (※後のアエネーアース自身の逃避行の様のようでもあるが、実は似て非なるもの) 【2.321 まさに(老いて庇護されるべき最年長の)彼自身が(失われた父母に代わって)引いてくる(のが目に入る。)。彼の者は平常心を失い、走って(アエネーアースのいる)玄関口へと向かってくる。】 (※ポエブス神が、この逃避行の頼りなさ、つまり、自分の死がわが父と子を死に追いやる結末の不敬神さをアエネーアースへ啓示しているようだ) (※神命遵守の手本を眼前にして、それでも戦士として武功を挙げ殉死しようとするアエネーアースは、意を決して尋ねる。) 【2.322 「どこに、(我らトロイア人の)『最後』の事績の『場』があるのだ、パントゥースよ。つまり我々は、どの要衝を持ちこたえているのだ。」】 【2.323 それらの言葉を話し終えるか否かのときに、彼は、呻き声と共にこのように返す。】 【2.324 「(ついに*Lucr. 1.584-585, 2.1105-1145)やって来たのだ、『最後』の『一日』が。つまり、逃れようのない(万物の摂理たる死滅へ向けて、始祖からの連綿たる出来事*Lucr. 1.459-468が収れんする、その)『時』が】 【2.325 トロイア人の始祖たるダルダヌス(以来のこ)の都に。ダルダヌスの孫にしてトロイアの名祖なおやトロースの子孫たる我らは、もはや在り終えた。在り終えたのだ、トロースの息子イールスの創建した(この)トロイアの都も。】 (※ウェルギリウスはルクレーティウスを統合するにあたって、事象やそれらの相互関係は取り入れる。ただ、それが自然の摂理のみの作用であるのか至高神ユッピテルの関与があるのかに違いがある) 【2.326 そしてダルダヌスの義父たるテウケルの子孫らの(この地で創建以来築き上げてきた)途方もなく大きな】 【2.327 誉れ(とその証たる富)も。全てを、ユッピテルが無慈悲にも、ギリシア人へ】 【2.328 移してしまったのだ。ギリシア人は都に火を放ち制圧している。】 (※その「無慈悲なユッピテル」は、そのギリシアがやがて、ローマたるトロイアに包含されることを知っている) 《重要な含意、特徴的韻律関係の意味》 (1)ルクレーティウス原子論を『アエネーイス』に統合するための最大の課題  Lucr. 3.83-86とA. 2.312-315の連続4行同士の2つの詩行群が、全ての行で真逆主韻律の対を作る構造は、偶然とは思えない。精神を腐敗させる「死と冥界の恐怖」は唯物論でのみ払拭され得るのか?アエネーアースはどう行動するのか?主役は「避けんとするTimorか求めんとするAmorか(→Amorを包摂するTimorへ)」、守るべきは「現在か未来か(→未来を包摂する現在へ)」。全編を通して主人公らの、高言ではなく行動を通して示されてゆく。 (2)2.313と314の主韻律が真逆である意味  この両対だけで見れば「2.313:圧倒的敵軍の襲来」対「2.314:私の無謀な反撃開始」という対照的内容と一致しているようである。しかし、主韻律を指標としてさかのぼると、下記のような「至高神ユッピテルの絶対的『定め』と、それに逆らう『狂気』」の関係が見出される。 ・「DSDSDD」:2.313, 2.294, 2.290 ☞ 「敵軍によるトロイアの滅亡が始まっている。至高神ユッピテルの神意の『連れ』として(2.294 fātōum comitēs)、お前アエネーアースは『このトロイアの守護の神々をつかめ(2.294 hōs cape)』。神々をお連れする新たな大都へ落ち延びるために。」 ・「SDSDDS」:2.314 ☞ 「(arma āmens capiō)『つかんだ』のが『神意の神々』ではなく、『武器』であった。」  さらに、ユッピテルの定めに逆らう「āmens(狂気)」の原因・背景を第1巻序歌に求めると、ユーノーの『怒り』(DSDSDD)が、加えて、ユッピテルの「ローマ」の長期ビジョンに対抗する同女神の「カルターゴー」の長期ビジョン(SDSDDS)が浮かび上がる。「DSDSDD」と「SDSDDS」の真逆性は、同じユーノーの「トロイア/ローマへの怒り」と、「カルターゴーへの慈しみ」の対照性に呼応。 ・「DSDSDD」:1.2, 1.4 ☞「至高神ユッピテルの定めによるイタリアはラーウィニウムへの(トロイア滅亡ゆえの)落人行は、トロイア滅亡から始まり到着地での安住まで(1.3のet terrīs et altōには出発の地および到着の地での受難を含むと解釈)苦難の連続であり、それはユーノーの『怒り』によるもの」 ☞「ユーノーのトロイアへの『怒り』が、ギリシア軍にトロイアを攻撃させる[2.313]」 ・「SDSDDS」:1.13☞「イタリアはティベリスの河口(から世界へ広がるであろうローマ)に、はるかに[longē]、対峙する[contrā]のはカルターゴーである。(それは、ユーノーがどこよりも慈しみ[1.15]、世界の王にと密かに図っている都[1.17]である)」 ☞「ユーノーのカルターゴーへの『慈しみ』が、アエネーアースの湧き上がる敵への怒りにつけ込んで狂気を吹き込み、武器をつかませる[2.314]。(戦場での『死』を美しいと思わせて[2.317]。※アエネーアースが戦死し、その結果、父・妻・子[イウ―ルス]は守り手を失いギリシア軍に殺害される。そうして、将来のローマの誕生を阻み、カルターゴーを世界の王にすることが狙い。) (3)2.320と2.723は、似て非なる「敬神者の逃避行」―2.320:ポエブスの神官「パントゥース」と2.723:比類なき敬神の勇士「アエネーアース」 1) 内容 2.320:アエネーアースが見入る、神官パントゥース一家がギリシア勢の殺戮から逃げてくる様 「聖物と敗れた神々を手に、(残りの手で)幼い孫を(他ならぬ彼自身が引いている[2.321])」 2.723:アエネーアース一家がギリシア勢の殺戮から逃げる様 「(聖物と祖国の守り神を手に持った父[2.717]を、背負うために下に入る。(私の)右手へ自らを幼いイウ―ルスは(つなぐ[2.723])」  内容面では「pietāsにおいて重要であるがゆえに安全に避難させられるべき3つの存在:神々、最年長者、最年少者」のそのあり様の視点から、次のように考えられる。前半では「神々と最年長者」の立場からすれば、2.320では自分たちを庇護してくれる壮健な大人が「誰もいない」のに対して、2.723では「豪勇無双の息子がいる」という対照的状況がある。一方、後半では、「最年少者」の立場からすれば、庇護してくれる大人に手を引かれているその状況は両行で同一のものである。 2) 韻律形式 2.320: DSD+SDS|APA+PAA, 2.723: SDS+SDD|AAP+PAA  詩行の対応関係の内訳をみると、主韻律では、真逆対応の半分(前半)と同一対応の半分(後半)の合成で全体が成り立っている。同様に、従韻律でも、ほぼ真逆対応(3脚中2脚が逆)の前半と同一関係の後半で合成されている。このような「真逆」と「同一」が半分半分である様は、「似て非なる」内容関係の好適な反映といえるのではないだろうか。 3) 「似て非なる逃避行」が2.320で出現する意味  ポエブスから、落人行のアエネーアースへは、要所で重要な神託を神官等を通じて彼に示すことになる。その意味で、この段階で無駄死にしないように彼に重要な示唆があっても不思議ではない。そして、パントゥースはポエブス神殿の神官なのである。ポエブスの示唆が、神官のあり様・振る舞いに込められたのだと考える。その含意は、年老いた「最年長者(アンキーセース)」に手を引かれる「最年少者(イウ―ルス)」の無防備で、未来のない様をアエネーアースの目に焼き付ける(2.318 Ecce)ことである。 以上

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Recitation (Aenēis 2.298-312) and Slides_「トロイア滅亡」の「田野への自然災害」の比喩は『農耕詩』につながりその文脈を取り込む

【和訳】 【2.298 (アエネーアースが皆と同じように偽りの現実で安らかな眠りの中におり、夢に現れた傷だらけのヘクトルにお告げをうけている)その間に、(ここアンキーセースの館からは)遠く離れて、城市には(敵の侵入した城門付近から始まった)阿鼻叫喚によって、(逃げ惑う人、様子を見に来る人、本丸へ向かう人らが交錯し)混乱が起こっている。】 【2.299 (ここにも届く)喧噪は次第に大きくなってくる。親のここは(城門や本丸から)離れて人目にも付きにくい(立地ではあった)のだが。】 【2.300 (それというのも)アンキーセースの館は、(城市の反対側にあり、)奥まって木々で隠されていたのであった。】 【2.301 (しかしまだ無事なここでも、)喧噪は、はっきり聞き取れるようになり、武器の恐ろしげな物音が耳に押し入って来る。】 【2.302 (悪夢のようなヘクトルのお告げを裏付ける物音に)夢から追い出された私は、(さらに、己の信じた現実が真か偽りかを求めて)屋根の最頂部となる稜線まで】 【2.303 (―後にかなたの家にそびえたつ火の神と対峙するとは知る由もなく―)登りつめて、(遠くまで目視しようと精いっぱい)そびえ上がる。(しかし夜の闇と樹陰がそれを妨げる。)耳をそばだて探るが、(一刻の猶予もならない様子ではあるものの、音だけでは全容がつかめない。これは現実か、実は夢だったお告げの悪夢の続きかと、開いた口を閉じるのも忘れて)呆然と立ち尽くす。】 【2.304(敬神で優れた勇士ではあるが、聞いたばかりの神意の道に未だ不慣れな、アエネーアースの様を例えるならば)、それは、(分厚い雷雲で昼なお夜の闇のごとき中で、ユッピテルの稲妻が引き起こす)火炎が、荒れ狂う南風とともに黄金の実りの畑へ】 【2.305 (抗いようもなく)襲いかかるとき、あるいは渓谷の流れが激しい鉄砲水となって、】 【2.306 (まさに)田野をなぎ倒し、その喜びの作物を、つまり、牛たちの労苦の成果をなぎ倒すとき、】 【2.307 さらには(田野の)木々を頭から激流に引き倒すとき、あたかも(労苦を要求しつつも、神々の予兆に気を配り、ケレースを大切にすることで報われるはずの、そのような農耕の神意の道に)未だ不慣れな(、優れた兵士ではあったが退役し、神の哀れみを受けるべき)牧人が呆然とするかのよう。すなわち、その者は(闇の中で事態を探ろうと)高い】 【2.308 岩(に登りそ)の頂点から、(圧倒的)破壊の物音を浴びる中で、(一刻の猶予もならない様子ではあるものの音だけでは全容がつかめず)呆然とするのみ。】 【2.309 まさにそのときであった。真実によって、(偽りを神へ誓ったあの者と、そうと知りつつ沈黙した神々の)信義が明らかになった。ギリシア人らの(夜の闇に隠されていた)それが(今)くっきりと浮かび上がったのだ、】 【2.310 邪悪なはかりごとが。(目にしたのは、パリスの死後ヘレナをめとった)デーイポブスの広大なそれが崩れ落ちたまさにその瞬間。】 【2.311 (ウェヌスの夫だが以前にはアキッレースのために母ユーノーの願いを聞いてクサントス川を火であぶった、その)火の神ウォルカーヌスが、(かかってこいと挑発するように)館の上にそびえ立つやのこと。そして直ちに次の、隣接する家が燃える。(―これは!ヘクトルのお告げのとおり、この大火事から直ちに父・妻子を守りつつ逃げるべきときか。それがpietāsか。いや待て、奥まって木々に覆われたここは、火の粉をかぶりにくく、敵も見つけにくい。まだ大丈夫だろう、むしろ祖国への...。[ユーノーの関与か、]なぜかそのように思い直す―)】 【2.312 燃えるそれはウーカレゴーンのところ。(今や人目をはばかることをやめた)猛火により、シーゲーウムの海峡は広く照らし出される(闇にまぎれた海からの脱出を断念させるように)。】 【重要な含意】 疑問:なぜ、「トロイア滅亡」の比喩に「田野への自然災害(2.304-308)」が使われるのか 理由: トロイア滅亡」に関わる文脈が、先行して世に出された『農耕詩』第1巻(穀物)の関連個所で扱われ、その参照が『アエネーイス』当該箇所を補足するため。 (1)『農耕詩』第1巻(穀物)エピローグと「トロイア滅亡」との関わり (2)『農耕詩』第1巻(穀物)プロローグと「A. 2.307-308 inscius (pastor)」との関わり (3)『農耕詩』第1巻(穀物)G. 1.325と「A. 2.306」との、詩行の、語句(後半)および韻律(全体)の共有 (1)『農耕詩』第1巻(穀物)エピローグ(G. 1.500-502)と「トロイア滅亡」との関わり  G. 1.500-502において示されるのが、①トロイア滅亡の理由(ラーオメドーンの神々に対する偽誓への罰)、②この罪の血の償いにおいて、トロイア滅亡は始まりにすぎず、アウグストゥスによってようやく終わるであろうほどに神々の怒りは長く続いたことである。  韻律的には、上記②を示すG. 1.501の主韻律が『アエネーイス』全巻の主題を担う冒頭行(A. 1.1)と同一の「DDSSDS」である。内容にも同一性があると考えると、A. 1.1の「Arma」と「virum」とは、アエネーアースのみならず、彼を最初の者「quī prīmus」とする、アエネーアースからアウグストゥスに至るローマの、全てのそれらの象徴としての、「戦争」と「勇士」であることが示唆される。 ※G. 1.500-502および、参考として、アウグストゥスにかける人間世界の平和への切なる希求を歌う後続行503-505の和訳を以下に記す。 【500 [神々よ] なんとしてでも (saltem) 、この若者が(hunc iuvenem)破滅的に混迷した(ēversō)この時代を(saeclō)救うために駆けつけることを(succurrere)】、【501  妨げないでください(nē prohibēte)!我らは、今となっては既に十二分に長い時間(satis iam prīdem)、我らの血で(sanguine nostrō)】、【502 ラーオメドーンのトロイアの(Lāomedontēae Trōiae )偽誓の罪を(periūria)償ってきているのだ(luimus)。】  【503 今となっては既に長い間(iam prīdem)、天の王宮は(caelī rēgia)、我らに(nōbīs)あなたを(tē)、カエサル[オクターウィアーヌス=後のアウグストゥス]よ(Caesar)、】、【504 与え渋ってきた(invidet)のだが[=今や、このように、ようやく我らはあなたを与えられている]。[今や]、さらには(atque)、天の王宮自体が[acc+inf.のaccたるsēが省略されている]、人間世界の(hominum)、[頻発する]戦争の勝利を(triumphōs)、取り計らうこと[の多さ]に(cūrāre)不平を言っている(queritur)。】、【505 それというのも(quippe)、人間世界では(ubi [hominēs 人間世界])神の定めた正義(fās)と(atque)不正義が(nefās)逆転しており(versum)、世界中で(per orbem)かくも多くの戦争が(tot bella)起こっている(sunt[省略されている])のだから。】 (2)『農耕詩』第1巻(穀物)プロローグと「A. 2.307-308 inscius (pastor)」との関わり  A. 2.307の「stupet inscius」はA. 7.381「stupet inscia suprā」と同義であり、共通的に使われる「inscius -a -um」は、 G. 1.41の「ignārus -a -um」と同義である。すなわち、「しらない、気付かない」ではなく「無知の、未熟な| ignorant, unskilled, inexperienced [OLDによる]」である。神の哀れみを受けるべき、優れた兵士であったが退役し農耕の道には未熟な者をもって、優れた勇士であるがこれからの神意の道には未熟なアエネーアースを例えたことになる。 【 A. 7.381 [革のむちで駆動されたそれ[コマ]は] 曲がりくねった(curvātīs)コース(spatiīs)で進められる(fertur)。いまだかつて(suprā)経験したことがなく(inscia)幼年でもある(impūbēsque)一団は(382 manus)呆然とする(stupet)、】、【382 回転する(volūbile)コマに(buxum)驚いて(mīrāta)。】 【G. 1.41 [25 カエサルよ、]また(que)、農耕の(agrestis)道(viae)を経験したことのない者達を(ignātōs)哀れんで(miserātus)私とともに(mēcum)】、【42 関与してください(ingredere)。そして(et)神への誓約とともに(vōtīs)名を呼ばれることに(vocārī)まさに今から(jam nunc)慣れてください(adsuesce)。  ※なお、Il. 20.86-102および176-198によれば、アエネーアースは一人イデ山中で牛の群れとともにいたところをアキッレースに襲われ、ユッピテルの助けで逃げたとされる。つまりアエネーアースは、イデ山でのエピソードによって、A. 2.308でpastorに例えられる背景を持っていたのかもしれない。 (3)『農耕詩』第1巻(穀物)G. 1.325と「A. 2.306」との、詩行の、語句(後半)および韻律(全体)の共有 A. 2.306 sternit agrōs, sternit sata laeta boumque labōrēs|| DSDDDS|APPAAA G. 1.325 et pluuia ingentī sata laeta boumque labōrēs|| DSDDDS|APPAAA A. 2.306:(山からの激しい水の流れが)畑をなぎ倒す、豊かな実りをなぎ倒す、牛たちの労苦の成果を G. 1.325:そうして雨は膨大な量で豊かな実りを牛たちの労苦の成果を(流し去る) 上記のような明白な結合によって、G. 1.325を取り巻く文脈がA. 2.306を取り巻く文脈へ参照される。  例えば、豊かな実りを壊滅させる主体は父神ユッピテルに他ならず、そのように、ギリシア勢の夜襲によるトロイア壊滅もユッピテルのなせる業である。※G. 1.328:父神自身が、雷雲の、真夜中の如き暗黒のただ中にいて、燃えるような(右手で稲妻をふるう)。  また、『農耕詩』第1巻(穀物)では、ユッピテルの雷雲がもたらす風・雨・雷火による破滅的災いを避けるには、天文に予兆を探るのもよいが、何よりも神々を、とりわけケレース神を崇敬せよ(1.339)と教えている。しかるに、トロイアの古よりのケレース神殿は都を出たところにあり、見捨てられさびれていた[A. 2.714](ラーオメドーンの強欲と同根の精神的退廃)。それゆえに、トロイアはユッピテルに滅ぼされたとも解釈できる。 以上

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Recitation (Aenēis 2.281-297) and Slides_ヘクトルからアエネーアースへ担手交代_人間社会を根本から再生するため古い社会を滅しその本性「敬神」を担手と共に切出す

【重要な含意】 (1)期待していた者の来訪を受けた時(2.270-286)、湧いてきた感情は喜びか当惑か―第6巻(6.684-688)との対比:内容及び主韻律から第6巻が喜びであり、第2巻では当惑である。 1)内容から  6.690-691にはアンキーセースがこのような来訪を思い描き導いてきたこと、そしてそのcūra(世話、心配)が裏切られなかったことが語られており、それゆえに、688-689の「アエネーアースの顔を見て声を聞くこと」が、喜びになるのだと分かる。また、言葉より先に、アンキーセースが両手を差し伸べたり(6.685)、滂沱の涙があふれる(6.686)というような体の反応が無意識に起こっていることは、喜びの抑えきれないほどの大きさを表現している。  対照的に第2巻では、相手を迎える表敬の言動として、2.281でアエネーアースはヘクトルの生前の栄光を、涙(2.279)と悲しみをたたえた口調で(2.280)称讃するのであるが、これらはヘクトルの痛ましい様相をしばし観察した後のことである。この涙と発話の遅れは当惑がもたらしたものであろう。また、生前のヘクトルの称讃内容は、霊となったヘクトルの否定的事態が心に引っかかっていることの反映と考える。「そのように立派な」ヘクトルが「遅れたこと」および「傷だらけであること」から否定的感情が湧いているのである。 2)韻律から  両場面ともに最重要点は「期待して待っていた者の到着」であり、第2巻では2.282-283に、第6巻では6.687-688に現れている。その箇所の主韻律をみると①「前者2.283のSDSSDDと、後者6.688のDSDDDSは互いに真逆の関係」にある。また、②「2.282のSDDDDSは、第6巻当該場面の代表たる冒頭行6.684のDSSSDDと真逆」である。①と②において内容と韻律形式の一致が認められる。 (2)2.270-297の段の主題  この段では、例えば下記のキアスムス主韻律の含意に担われるように「トロイアのためから人類のためへの質的飛躍を伴った、ヘクトルからアエネーアースへの守護神(より根本的には至高神ユッピテルの神意)の担い手交代」が主題であると考える。  「2.281(ヘクトルよ)」と「2.293(アエネーアースに)」の主韻律はキアスムスをなすが、これは、トロイアの命運の担い手とそのあり様が、事態推移の反転を伴った起結関係をとることと呼応するものである。  すなわち、2.281の死したヘクトルへの称讃の呼びかけは、彼が「トロイアの命運を担う第一の勇士」だったこと、さらにはトロイアが、この地の河神の子たるテウケルの血族の王国であり、かつ、イタリアに発したダルダヌス(ユッピテルの子)がこの地に来てテウケルの娘と結婚し創建した王国であることを背景に持つ。  一方、2.293では、滅亡するトロイアがその守護神と聖具をアエネーアースに託すのである。アエネーアースが新たに「トロイアの命運を担う勇士」となり、トロイアを創建したダルダヌスの発したイタリアへ帰還し、その地を治めた神々の子孫と結婚して(ダルダヌスに類似)、新たに創建する都(ラーウィーニウム)にトロイアの守護神を導き入れることになる(2.294-295)。  この歴史的転換は、ダルダヌスの血筋にとって、「やって来た」アジアの地での【トロイア人としての死滅】に向かう最後の一歩を「起」とし、始祖の地イタリアに「帰還し」新たに創る【ローマ人としての浄化と生まれ変わり】への最初の一歩を「結」とする起結関係があり、そこには事態推移の方向の反転を伴っている。また、第6巻をふまえると、より上位概念的に「死滅(地上界から冥界へ)→浄化と生まれ変わり(冥界から地上界へ)」という魂の行方の「反転」がある。  この魂の行方の俯瞰図は、第6巻の冥界で示される「個人の記憶の器としては滅すると同時に、高天の純粋な種子(原子)としては不滅である魂が、冥界で浄化され約1000年後に地上の新たな個人に生まれ変わる」という(伝統的宗教と原子論を統合したウェルギリウスの)真理が、至高神ユッピテルの長期ビジョンとして、ダルダヌスの血筋(ユッピテルの血筋)において展開するかのようだ。 (3)敬神なるアエネーアースの落人化とルクレーティウスの関係  ルクレーティウスがLucr. 1.449-482において、原子と空虚の「属性(conjunctum)」ではなくそれらの派生物である「出来事(ēventum)」の代表として例示している「トロイア(人)の滅亡」と、「属性」を切り離すには事物の死滅的損壊が必要だとする主張とを結びつけて、ウェルギリウスが自分の目的へ向けて新たな枠組みを作ったのではないかと思われる。  ウェルギリウスにとって、人間社会の属性(それ無くしては当該事物が当該事物ではなくなる本質的性質)は「敬神」であり、「敬神」を人間社会から切り離すには、人間社会の(トロイアの)死滅的損壊が必要である。そこで、約1000年後の新たな時代の人類全体の社会に必要な新たな「敬神」の種子を、至高の敬神を備えたアエネーアースとして切り離すという枠組みが生み出されたと考える。これによって、伝統的敬神とルクレーティウス的真の敬神とを統合したウェルギリウスの新たな敬神が可能となる。  約1000年後の人類全体のために滅びる一つの民族は、その俯瞰的視点からは、シノーンがギリシア軍全体のために一人いけにえに捧げられた伝統的敬神に似るが、滅びるトロイア人の眼前の状況からは、アエネーアース一人を生かすために全トロイア人がいけにえに捧げられたのであり、伝統的敬神と真逆になっているところが弁証法的に感じられる。  (4)「夢の中での亡霊との出会い」という事象:                 1/4  アエネーアースに体験させるウェルギリウスと「simulācra」理論で説明するルクレーティウスとの関係    ルクレーティウスは、死後の魂も冥界も存在しないことを繰り返し強調することによって、人間を強欲に追い込む元凶である死の恐怖と、それを基盤として怒りと好意で束縛する伝統的宗教や神々から解放しようとする。一方のウェルギリウスは、ルクレーティウスによる伝統的な「宗教や神々-人間関係」の批判を是認しつつ、神々-人間関係の再定義により新たな敬神の精神文化を用意しようとしていると理解する。そうであれば、「夢の中での亡霊との出会い」が人間の錯覚に過ぎないとする「simulācra」理論は神々の人間への関与に否定に直結するがゆえに、第2巻での当該エピソードをウェルギリウスがどのような理屈で描くのかは重要事項である。  結論的には、ウェルギリウスからルクレーティウスへ、次のような応答があるのではないかと考える。  ウェルギリウス: simulācra理論は人間の感覚・知覚の多くを説明するが万能ではない。それは、夢を見る当人が全く見たことも聞いたことも想像したこともない事象を夢に「見る」ことは不可能だろうということである。その良い事例は「未来に実際に起こる出来事」である。間近に迫る「ペルガマ炎上」は、ルクレーティウスよ、あなた自身が実際に起こった出来事として紹介している。「未来に実際に起こる出来事」を人間に夢で伝えられるのは、1000年単位の神意を当然とするような、長期のビジョンを持つ至高神ユッピテルが重要な案件には関与しているからにほかならない。 【和訳】 【2.281 おー、ダルダヌスの国の光よ、おー、テウケルの(信義の)子孫の中でも、誰よりも信義にあつく頼りとされた(、我らの)希望(を担った勇士)よ、】 ※神話的背景を承知していたローマの読み手/聞き手には次の[ ]内に補足した内容も響いたかもしれない。 【2.281 おー、[高天のユッピテルの子としてイタリアより来たる]ダルダヌスの創建したこの国を[その血筋を担い]照らした光、おー、[この地の河の神の子]テウケルの[血をも引く] (信義の)子孫らの中でも、誰よりも信義にあつく頼りとされた(、我らの)希望(を担った勇士)よ、】 【2.282 こんなにも手遅れになるほどに、何が障害だったのだ? ヘクトルよ、(一体)どのような経路をたどって】 【2.283 あなたは到着したところなのか?(きっと夢のお告げで我らを勝利へ導いてくれるはずだと)あなたは待ち望まれていたのだ。(その)あなたを、あなたの身内の多くが】 【2.284 死んだその葬儀の後で、つまり、(トロイアの)人間たちや都の様々な苦難の後で、】 【2.285 (今ようやく)見ているとは!しかも、(もはや勝利のお告げの要らない、平和と繁栄の時代が、逃げた敵と神威の木馬でまさに到来し、その木馬の祝いの直後で)疲れ切った我々が、なのだ!(なんという巡り合わせ!これは木馬の早々の好意なのか?しかし、なぜその痛ましい姿で、嘆いているのか?あなたへの好意の代償がこれなのか?ならば、神々は、トロイア第一の武勇の者の)晴朗で憂いのないそれに、いかなる不当な口実で、】 【2.286 つまりその容貌に傷の辱めを負わせたのだろう?(さらには、そのことの、私への意味は何か?)これらの(実際には見たことのない)傷の数々を、なぜ私は(夢とは思えないほど鮮明に)見分けるのだろう? (はたまた、これは冥界の象牙の門から霊が送る偽りの夢なのか?あるいは、実のところ死後には魂も冥界も存在せず、私は単に過去の事物からのsimulācraを見ているだけなのか?)】 【2.287 (一方、ヘクトルの霊は、やがてウリクセースが出会う冥界のギリシアの将軍らとは違い、死者となった嘆きを生者にかき口説きはしない。そうではなく、ユッピテルにお告げを託された)彼は、決して私の詮なき追及にかかずらって遅れることはなく、】 【2.288 胸の奥から、(じくじたる思いのこもる)重いうめきとともに声を発して、】 【2.289 「ああ、逃げよ、女神の子よ。」と告げる、「(破滅の)炎からお前自身を救い出せ。】 【2.290 敵が(ぐるりの)城壁を押さえている。トロイアは高き頂上から(奈落へ真っ逆さまに)崩れ落ちる。】 【2.291  (この眠りが最後の贈り物だったのだ。神々にとって)十分なものは(既に)祖国とプリアムスに与えられ終えた。もしもペルガマが(人間の)右腕で】 【2.292 守り抜ける(とユッピテルが定めている)なら、そうとも、(トロイア第一の)この右腕で(艦隊に火を投じて攻め込んだあの時から既に、ギリシア軍は撃退されて)ペルガマは守り抜かれたものとして(ここに)存立していたであろう。】 【2.293 トロイアは、神聖なる祭具と自身の守護神をお前にゆだねる。】 【2.294 これらを神意による道連れとして受け取れ、そしてこれらの(安置の)ために城市を探し求めよ、】 【2.295 大いなるそれを。お前は、(それを求めて)大海を迷いつくすだろう。しかし最後には、それを確固と立てることになる。」】 【2.296 このように言い終えた。そうして(場所が変わって)、両手で、神聖な飾りリボン(を髪に巻いたペナーテース像[3.174])と、強い神威を持つ、ウェスタの炉の聖火を、】 【2.297 永遠の火であるそれを、(このアンキーセースの館へ、ウェスタ神殿の)奥の至聖所から運び出す(姿を私に見せる)。】 以上

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Recitation (Aenēis 2.268-282) and Slides_冒頭2行の3層構造:表層のトロイア人・中層のユーノー・深層のユッピテル(この至高神からLucr. 6.1-8へ)

〖重要な含意と和訳〗 【重要な含意】 〈Tempus eratのこと〉 ルクレーティウスはLucr. 1.449-482で、「他のものは物質(原子)と空虚の属性から生ずる結果であり事件と呼ぶことがふさわしい」とし、決して事件を第3の本質的存在と誤解してはいけないとくぎを刺す。そのような誤解を招きやすい事例として挙げているのが「時間」と「トロイア戦争」である。  時間も事件の推移と共に感知されるものであり、独立的存在ではないとする文言は「Lucr. 1.459 tempus item per se non est」であって、「A. 2.268 Tempus erat」との呼応を見出しうる。また、事件の事例がトロイア戦争であり、とりわけ「トロイア人の気付かぬうちに、木馬がギリシア人を放ってペルガマを炎上させる[Lucr. 1.476-477]」という事件が紹介されていることは、そのペルガマ炎上の「事件が進行する時間」について語るA. 2.268との接点がここにある。  ウェルギリウスが2.268を「Tempus erat」で始めるとき、ルクレーティウスの時間の解釈を踏まえているものと考える。それは、「tempus erat quō」は一般的な語法のように思えるが『アエネーイス』ではこの箇所にしか現れていないこと、同様に『事物の本性について』においてもLucr. 1.459にしか現れないからである。このとき、「Lucr. 462-463 事物の運「動」(mōtū)と「静」かな安らぎ(placidā 『quiēte』) から切り離して時間そのものを感知することはできない」における「動と静」の対照と、城市内に侵入したギリシア人の策「動」とトロイア人の「A. 2.268 Tempus erat quō prīma 『quiēs(休息/平「静」)』」における「動と静」の対照の間には、「時間」を巡る連関を感じ取ることができる。  そのように、時間が出来事の推移に依存するとき、時間の支配者は世界の運命の支配者(至高神あるいは自然の摂理)ということになり、その意味で、「2.268 Tempus erat quō」と「Lucr. 1.459 Tempus item per sē nōn est,」を結び付けることは、2.268-269に至高神の神意の存在を含意させることになる。 〈quiēs mortālibus aegrīsのこと〉 2.268のquiēs mortālibus aegrīsの解釈を変えることによって、この冒頭が担う文意は3層に重なる。表層:トロイア人自身の理解(一般論として不死ではない人間にとっての、心地よい疲労からの熟睡)、中層:ユーノーの神意(神々への傲慢をあがなうために死すべきトロイア人たちにとっての、死の永遠の眠り)、深層:ユッピテルの神意(ユーノーの神意を必須の要素として含みつつ、約1000年の長期的神意でローマの平和への歩を進める)。この深層を介してルクレーティウスのLucr. 6.1-8のmortālibus aegrīsとsōlāciaとつながって両詩人の対話が生まれる。 (Lucr. 6.1のaegrīsが、全巻エピローグをなす、疫病のアテーナエ襲撃・病死者の神殿埋め尽くし・人々の伝統的敬神の喪失へつながることは、ホメーロス(正)とルクレーティウス(反)を統合しようとするウェルギリウス(合)の視点からは、新たな敬神を担うローマはカピトーリウムの、ユッピテル・ユーノー・ミネルゥアの三神一組の神への統合に至るユッピテルの、至高神の「正義のけじめ」として、カルターゴーのユーノーの運命にも似て、[A. 1.284-285のユッピテルが語るローマによるギリシア征服の段で、アキッレースとアガメムノーンの地のようには触れられないものの、]木馬の奸計によるトロイア炎上のアテーナ女神への「報い」なのかもしれない。)  なお、続く2.270から登場するヘクトルは、このユッピテルの使者である。 【和訳】 【2.268 次のような(事物の運動と静かな安らぎが織りなす出来事の、これまで・現在・これからの推移として感知されるべき)時間(なるもの)があった。さあ、そこでは、(神々に尽くし喜びの内に)疲れた人間たち(、あるいは はかなくもこの夜に死すべき者たち)のために、(寝入り)初めの深い睡眠が、(あるいは永遠の休息への深い眠りが、はたまた、さらに深いところでは、逃げるべき一人のためにその民族がいけにえ になるという「先のシノーンの伝統的敬神」とは真逆ながら、その一人が今度は全人類のために 死より辛い道を行くという「新たな敬神」へと歩む 至高神ユッピテルの長期的神意が、) 【2.269 始まっている。そして、それは神々からの最も感謝に値する贈り物として、心地よさの極みを持って、(眠りの神は)忍びやかに彼らへはい寄ってゆく(大蛇が見せしめたふうとは反対に)。 【2.270 (そのような至福の)眠りのさなか(至高神からの贈り物として)、見よ!目の前にヘクトルが、(しかも)極まった悲嘆をたたえて、】 【2.271 私の傍らにおり、惜しげもない涙を流しているのが目に入った。  (その様は例えば、やがてウリクセースの冥界で出会う弱々しいアガメムノーンのように、己の運命を悲しむかのように見えた。しかし、なぜか一方では反対に、私の運命への共感と哀惜のようにも思われた。)  (※今にして思えば、トロイア人への無慈悲な神々の計らいを耐え忍ぶ涙だったのかもしれない。ヘクトルは、真実の姿によって私の目を覚まさせ、今しも起こるトロイアと私の受難と運命を悟らせようとしていたのだ。彼は、これまでは地上への関与が許されなかった。しかも最後に許された私へのお告げは、自分や大勢のトロイア人が右腕で命を捨てて守ってきた祖国が、ギリシア人と神々の奸計で焼き滅ぼされてしまうこと、のみならず、この私は亡国の落ち武者となって、アトラースのような世界の重さの「至高の神意」を担うのだということであり、告げる側にとってもつらい状況があったのだ。)】 【2.272 彼はまた、(アキッレースの)二頭立て戦車に(遺体を)引きずってさらわれた「かつて」のように、血に染まった砂塵(まみれ)で黒ずみ、】 【2.273 また両足に(戦車につなぐ)革ひもを通され、そこが腫れ上っていた。】 【2.274 ああ、あれは!(彼は)なんという有様だったことか!―どれほど あのヘクトルから変わり果てていたことか!】 【2.275 あの(、トロイアの勝利を目前にし、)アキッレースの(神授の)武具を奪い身に着けて帰ってくるヘクトルから!】 【2.276 あるいはアルゴスの船々にプリュギアの火を投げつけたヘクトルから―】 【2.277 それというのも、乱れて不潔なあごひげや血で固まった髪の毛、】 【2.278 さらには、あの無数の傷を身に帯びていたのだから。しかもその傷とは、城壁の周辺で(アキッレースに遺体を引きずられて)】 【2.279 (皆が見守る)祖国のそこで(なすすべもなく)受けたもの。)(彼の)対面には(憐憫から)自身もまさにもらい泣きしている自分のそうするのが見えた。】 【2.280 悲しみを帯びた声を出し勇士に話しかける自分が。】 【2.281 おー、ダルダヌスの国の光よ、おー、テウケルの子らが誰よりも頼りにする希望よ、】 ※これはトロイア滅亡後にヘクトルと逆転したアエネーアース自身の新な立場のように響く。実際、この2.281の主韻律は、冥界で心配して待っていたアンキーセースがやって来るアエネーアースを見て喜びのあまりに話しかける6.688「([これは夢ではないだろうな?]とうとうやって来たのだな?期待していたように、)お前の親への敬神が(神意の)道の過酷さに打ち勝ったのだな?お前の顔を見ることが許されて、」の主韻律と強く呼応している。すなわち、前者の「SDSSDD」―2.279, 281, 283と一つ置きに3回出現しここの文脈の象徴―に対して後者は「DSDDDS」と真逆で呼応する。この主韻律の真逆性は、前者の「生者が死者に援助されるために、死者が神々の過酷さに打ち勝って地上へと」来訪する期待に対する、後者の「死者が生者を援助するために、生者が神々の過酷さに打ち勝って冥界へと」来訪する期待の真逆性の反映である。  2.282の遅延と合わせて、カルターゴーでぐずぐずする近未来の彼へ、彼自身の口を借りてユッピテルが予め忠告しているかのようであり、同時にこれからのトロイア人を率いる主役の交代の予示のようでもある。 【2.282 いかなる(事情の)遅延の数々があなたを引き止めていたのか。(※あたかもディードーに深入りするアエネーアース自身への呼びかけのようだ。)ヘクトルよ、いずれの(敵対的神や支配者の)岸辺から(あなたは来ているのか、期待し待たれていた者よ。)】 〖スライドでの考察の目次〗 【ヘクサメテルにおける主韻律のD/S配列と従韻律のA/P配列が示唆する文意の推測---P. 5/21~21/21】 *A. 2.268-269を通してルクレーティウス(Lucr. 6.1-8)と「ユッピテルの長期的神意※」との呼応を読み取ることができる理由---P.5-11/21   ・―連関の図示 ※例えば「A. 1.1-33, 1.264-296」---P.5/21   ・―「概念の枠組みの同一性および細部の対照性」の把握  一覧・拡大版(1/2)・拡大版(2/2)--P.6-8/21   ・―主韻律による内容の連関---P.9-11/21 (3)「DSSSDD」のA. 2.269とA. 1.5, 21、ならびにLucr. 6.3, 7による共有、(4)「SDSSDD」のLucr. 6.8とA. 1.33による共有、(5)「SDSSDS」のLucr. 6.1とA. 1.7との共有 *A. 2.268-269の背後にルクレーティウス(Lucr. 1.418-482)を読み取ることができる理由---P.12-14/21  (1)Lucr. 1.418-482の重要文脈とその意図、およびトロイアの木馬の説話(A. 2.268)との接点  (2)接点の言葉「tempus」の向こうに展開するウェルギリウスの意図  (3)Lucr. 1.418-482の重要文脈「属性と出来事の峻別」を踏まえるウェルギリウスの意図 *詩行群2.270-278「アエネーアースの目に映ったヘクトルの様子」が持つ特徴的韻律構造とその意味---P.15-18/21  1.詩行群2.270-278「アエネーアースの目に映ったヘクトルの様子」が持つ特徴的韻律構造   ※第6巻の冥界の参考情報  2.前記韻律構造の意味   1)キアスムス   2)キアスムスに挟まれた中央部の2連続構造   3)「DDSSDS」の高頻度出現(44%)   4)個々に特徴的な韻律     ・SSDSDD: 対峙する事物/推移する起・結の対照的な様(前半と後半が要素真逆のキアスムス構造)     ・DDSSDS: 全巻冒頭行1.1の主韻律(作品主題と強く連関する)     ・DDDSDS: 「均衡」崩壊の含意(「均衡」を含意するSSSDDDの真逆)     ・SSSSDS: 最大限に「S」的なニュアンス(長・陰・重など)   5)詩行群2.291-293「ヘクトルの宣託の展開部」の全3主韻律を全て共有すること *2.270-278で2.271, 273, 274, 278 と頻出した「DDSSDS」に、キアスムスの「SDSSDD」が2.279, 281で隣接する意味---P.19/21 *2.269と2.282の主韻律が真逆の「DSSSDD」と「SDDDDS」である意味---P.19/21 *「夢の中で超自然的存在が『逃げ』を命ずる」という類型を持つ「2.289 ヘクトルの宣託」に対して、類似の他の事例が補足する含意---P.20-21/21 以上

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Recitation (Aenēis 2.250-267) and Slides_有限宇宙の中の閉小世界は壁の最弱部からcorporaが流出し崩壊する_ゆえに目指すべきローマの平和には時空の果てがない

【「隣接真逆主韻律対」:「内容と韻律形式の一致」の一形態】 (Cf.「韻律なくして真実なし」→ https://twitter.com/quateducitvia)  2.259[SDSDDS]-260[DSDSDD]のような隣接2詩行のあり様を「隣接真逆主韻律対」と呼ぶこととする。1.1から2.267までの出現数は22である(出現率2.15%)。ランダム事象とした場合の出現率は((1/2)^5)^2=0.0977%と実際の1/22である。よって、詩人の意図によって出現したと思われる。  隣接行ゆえに主韻律の真逆性が遅滞なく認識されることは、聞き手/読み手の心を大きく揺さぶるだろう。その真逆性に内容面での真逆性も一致した時には、つまり内容面でも、当該2行が担う「2大対立因子の糾える様」(※韻律面のこれら2大対立因子はDとSである)が真逆であるとき、文脈に強烈な訴求力が生まれるだろう。例えば、船舶レースのゴール前で互いに死力を尽くす2隻の様を描写した5.230[DSDSDS]-231[SDSDDD]は、直感的に把握しやすい事例であろう。  さて、2.259[SDSDDS]-260[DSDSDD]の場合の「2大対立因子の真逆の糾える様」を以下のように推定した。 ・骨格:2.259の『内部化』と260の『外部化』の真逆性 ・詳細:ギリシア軍の有志領袖らのcorpora(身体)に関わる、 ―2.259:「静的」な『内部化』状態(隔離と待機)への「瞬間的働きかけ(解除)」 ―2.260:「動的」な『外部化』過程(脱出)での「継続的・自発的な行動」  上記の上位概念的記述は、1.586[DDSSDS]-587[SSDDDD](内容は※の下記)との対比から生まれた。それは、隔離装置からの出現が「母胎からの出産」の暗喩である共通性が1.586-587を想起させたこと。および、両対の内容が、神威の隔離装置への要員の隔離(内部化)および相手方城内聖域への隔離装置に隠れての侵入を果たした後での、「隔離の解除」および、躍動的な「被隔離者の外部への解放(外部化)」過程の進行という、上位概念での結びつきが顕著であることに由来する。(※内容:母神ウェヌスの保護雲に隔離・庇護された王アエネーアースと随員アカーテースがカルターゴーの城内の聖域で政を差配する女王ディードーの眼前に突如出現する。)  このことから、「隣接真逆主韻律対」を含むこと自体が、当該隣接箇所の内容を強調的に飾るだけでなく、離れた箇所でも「隣接真逆主韻律対」で描写される内容同士をつなぎ、両者の含意を豊かにする指標となり得ると推定する(常に成立するとは限らない)。  さらに、これら離れた内容を担う「隣接真逆主韻律対」の個別の様相に内容と呼応する主韻律上の特徴がないかを検討し、主韻律上の2大対立要素であるDとSの配列において次の可能性が示唆された。  第1脚からのD/S配列は、意味上の2大対立要素が結合している場合は、DDやSSのように互いに結合している方が、逆に、意味上の2大対立要素が互いに分離している場合は、DSやSDのように分かれている方が強調として自然であろう。ここで、D/S選択肢のある第1-4脚の4脚がDDやSSから成るのか、DSやSDからなのかが着目点となろう。  その視点からすると、2.259-260では木馬内部からのギリシア軍要員は外部化直後ゆえに、城外のギリシア軍本体とはまだ合流しておらず、分離状態である。一方、1.586-587では、保護雲内に王のアエネーアースらがいるうちに、その眼前には合流すべき離散の仲間と救援の女王がいて、早く王と会いたいと表明済みである。この内容の違いは、前者のSDSDDS-DSDSDDと後者のDDSSDS-SSDDDDとの主韻律上の違いと呼応するものであろう。 〖重要な含意と和訳〗 【重要な含意】Lucr. 1.1113の「(全宇宙の空間と原子[corpora]の量に限りがあるというなら、その場合には、)密閉空間にcorporaを閉じ込めても、外部からのcorpora補給が不足し最弱部が出口となり、外部へcorporaは全て流出し、内部世界は崩壊することになる」という内容は、A. 2.259-264での「木馬の突破口から全ての領袖ら[corpora]が飛び出すこと」、またはやがて起こる「トロイア城壁の突破口の数々から敗残のトロイア人が全て落ち延びていくこと」と示唆的に一致する。この場合のウェルギリウスの示唆は、ルクレーティウスの上位概念に賛同し、本来無限の世界の中に有限で閉じた疑似世界を作ってもやがてトロイアのように必然的崩壊を迎えるがゆえに、アエネーアースの道が未来に到達する「ローマの平和」は時空の有限性を打破し無限を目指す(1.278-279)のだ、ということであろう。  なお、Lucr. 1.1113に続く1114-1117まで比較範囲を広げると、誤った根本認識から出発した場合に起こる逆の事象をトロイアの木馬の事例に仕立てていることが分かる。「人を盲目にする『夜』でさえ、君の道を奪い摂理の奥義を見えなくすることはないだろう」の逆説的アナロジーは示唆的であり、ウェルギリウスは、出発点となる根本認識「敬神とは何か」が正しくあるべきことを訴求しているのであろう。それは、ウェルギリウスが神々-人間関係の再定義を通して、ホメーロス的敬神(正)とルクレーティウス的敬神(反)を統合する際の出発点である。 【和訳】 ※訳文の括弧書きにおいて、♪印を頭に付した語または記述は韻律に由来する意味の補足であることを示し、その背景となる動画のスライド番号を各【訳文】直後の「♪《 》」内に示している。 【2.250 「♪1,2天空」はその(祝祭の)間にも巡り、時を進める。そして「♪1,2夜」も「♪1,2オーケアーヌス」から発して急いで巡り、】 ♪1《スライド5/12⇒  2柱の神々が、最終2脚連続での従韻律の破格という、1.1から初出の表現で強調されている。この強調に関わる挿話が Il. 18.239-242にある:ヘレが、アカイア勢を救援するため、嫌がる「陽」の神(へ―リオス)を「オーケアーノスへ向けて」急がせ、日没を早めた。これは、2.250の「夜」の神が、(自発的に)「オーケアーヌスから」急いで上ったという、真逆の主体とその行動の描写によって同一上位概念(早い日没)を語る。  加えて、「オーケアノース」は世界を取り巻いて巡る流れとして諸神の祖であり、「夜」も原初の女神として子たる「眠り」が至高神の激しい怒りを買った際に、安全な逃げ込み先として選んだほどの力量を持つ[Il. 14.242-262]。  即ちこの行は、トロイアの滅亡は全世界規模の大いなる運命であり、その至高の神意に世界を地理的・時間的巡りで取り巻く原初の神々(オーケアノースとノクス[夜])も歩調を合わせ、破滅の舞台を整えることを示唆する。》 ♪2《スライド6/12》 【2.251 大いなる(♪神々の意思を担う[ディアーナの月明かりさえない])夜の闇が(♪速やかにそして密やかに)包み込む。それは(♪世界の果てから広く)、大地と天空とをであり、(ただなぜか白帆の浮かぶ海[1.224]は数え上げられていない、)】♪《スライド6/12》 【2.252 特に(生前アキッレースが率いた)ミュルミドネス族(らギリシア勢)の(アキッレースは反対したはずの恥ずべき)奸計をである。(♪一方、待ち伏せる運命に身を差し出すように)城市中のテウケルの子孫らは身を横たえ】♪《スライド7/12, 8/12》 【2.253 (♪祝祭の熱狂も過ぎて)寝静まった。熟睡が、(♪邪なる神々の授けた聖なる労働とお祝いに)疲れはてた体をとらえる。】♪《スライド7/12, 8/12》 【2.254 しかるに今や(♪静かに潜伏していた)ギリシアの軍勢は(出撃し、横陣の)密集隊形に艦隊を組んで、】♪《スライド8/12》 【2.255 テネドス島から、(♪月食によって異変を告げることもない)物言わぬディアーナの月明かりの(♪そして、その光が穏やかに映り込むネプトゥーヌスの海の)静けさも好意的である中を(♪同じテネドス島から大蛇がこれ見よがしに迫った昼間と違って、誰にも気づかれず、劇的陣容の急行軍で)航行し、】♪《スライド7/12》 【2.256 (彼らの)よく知る(トロイアの)岸辺を目指していた。(やがて見慣れた地点に達して接岸へと進んでいた)そのとき、王の船は(高い)船尾に松明を】 【2.257 (はや)掲げ終えていた。(合図は城市内の間者シノーンに直ちに確認され)そうして、(至高神のうなずきの下)神々の(ギリシア勢に肩入れする)不公平な神意によって守られつつ、】 【2.258密かに、(木馬の)母胎内に封印されていたギリシア人達を、言い換えれば、松材の(木馬の巧妙な外装と出入口で野獣どもを封じていた)】 【2.259 檻を、(♪1外から)シノーンが(出産の女神ユーノー・ルーキーナのように)解き放つ。(♪2アエネーアースとウェヌスに対抗し、トロイアを崩壊させてローマへの未来を逆説で担う息子達たる)彼ら(♪2「静か」に)隠れて待機していたギリシア人達を、出口(♪2の産道)が開いて、(♪2外光の届かない「闇」の胎内から)元の外部世界の(夜の「闇」の)中へ】♪1《スライド9/12》、♪2《首記 隣接真逆主韻律対》                                                    【2.260 (♪人心をつかむため白昼出現し威容で驚愕させた、母神たる)木馬は(♪夜陰に隠れて人目を避け)産み戻す。(ローマ人よ、後に母神ウェヌスが息子アエネーアースを返し技で産み戻すことを思い出せ。意趣返しだ。ユーノー/ディードーから主客の待遇を得んと、ローマへの未来をまさに担うべき彼を、白昼、邪魔な人目を避け、夜陰の雲で隠して王宮へ送り、通す外光で明るい保護雲の胎内から昼の「光」の中へ、ディードーの心をつかむため美丈夫の出現でこの女王を驚愕させる。)(♪さて内部の)彼らは「勇躍」(♪自ら)、樫材の(骨格で支える)空洞から現れてくる、】♪1《スライド9/12》、♪2《首記 隣接真逆主韻律対》 【2.261 (まずは、息子をアエネーアースに倒された)テッサンドルスと(アエネーアースを母神ウェヌスがディオメーデースの止めから救出した時に、彼の戦車を御した)ステネルスの領袖らが、そして(手段を選ばない)恐ろしいウリクセースが。】♪《スライド10/12》 【2.262 彼らは(♪出口より次から次と)、垂らされた一本の綱を伝い(♪整然と)滑るように降りる。さても(プリアムスの娘の妻と息子を城内から救出する)アカマースが、(接近戦に強い)トアースが、】♪《スライド9/12》 【2.263ペレウスの孫(アキッレースの子)ネオプトレムスが、そして(やがてイタリアでアエネーアースへの矢傷を治すだろう母神のように、メネラーウスへの講和破りの矢傷を手当てした神技の医術)第一人者のマカーオーンが(※神たる木馬が産む者達の列挙にも、詩人の伏線がローマ人へ「母神ウェヌスこそ常にアエネーアースとその仲間を守る」と響く)、 】 【2.264 そうして(戦争を始めた)メネラーウスが、さらには(戦争を終わらせる)奸計の木馬、その建造者エペーオスその人が。】 【2.265 (♪神々が用意した夜の闇の舞台で)彼らは粛々とぶどう酒(♪の神)の早める眠りの底に沈潜した都を襲う(手はずを進める)。】♪《スライド6/12》 【2.266 不審番の者達を切り殺し、開け放った門の数々から(♪正攻法では10年間なし得なかったが、今こそ遂に)全ての】♪《スライド12/12》 【2.267 仲間の軍勢を(♪速やかに)受け入れる。そのようにして、(♪神々の思惑どおり)軍団は共にする手はずにしたがって合流し一体となる。】♪《スライド6/12》 以上

39 views • Dec 4, 2023


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